奥多摩は都心から1時間半程度の大自然スポットとして有名だが、渓谷の川岸や山奥深い林道を自らの足で散策すると、その魅力、自然の雄大さを最大限に感じることができると思う。
ゴールデンウイークを過ぎた梅雨入り前の土曜日、奥多摩のひんやりとした空気、緑豊かな光景を求めて、一眼レフカメラを持って奥多摩に向かった。
前回、奥多摩を地を訪れたのは3年前の2013年。大多摩ウォーキングトレイルと呼ばれる、古里から奥多摩までの全長約8キロのコースを歩いた。今回はどのコースにしようかと考えた結果、奥多摩から奥多摩湖を結ぶ、奥多摩むかし道を目指すことにした。奥多摩むかし道は全長約10キロから成り、 甲州裏街道とも呼ばれた旧青梅街道である。
奥多摩駅を降りた後、奥多摩むかし道の入り口前にあるコンビニエンスストアで売っていたおにぎりとお茶を購入し、ハイクを開始する。むかし道に入るとすぐに羽黒坂と呼ばれる急な坂道があり、それを越えると、巨樹に囲まれた山道が緩やかなカーブ、アップダウンを繰り返しながら続く。季節柄のせいか、すれ違うハイカーの数も少なく、ひっそりとした渓流の音を聴きながら、気の向くままにシャッターを切った。
長年人馬が往来していたとのことで、道中に出現する石碑等によりその当時を感じることができる。自動車も行き来していた街道跡ゆえに大半はコンクリートで舗装された歩きやすい道だが、ところどころに林道もあり、ショートトレイルも楽しむことが可能性だ。
むかし道の最終林道となる水根を下ると、眼下に東京の水源である奥多摩湖(小河内ダム)に到着する。30分ほどぼんやりと奥多摩湖を眺めているうちに夕暮れもせまり、奥多摩むかし道のハイクを終わりにした。
大多摩ウォーキングトレイルと比べるとコースの各所に案内板が丁寧に設置され、道に迷うことは殆どないのだが、一度だけコースアウトしてしまった。どこで間違えてしまったのかと辺りを見渡していると、たまたますれ違った地元の方に声を掛けていただいた。「むかし道を探している」と伝えると、「ああ」という一言と共に、優しい笑顔でむかし道の方向を指差してくれた。